Low Voltage Closet Child

音楽と楽器が好きな人がいろいろなものをレビューするところ。

スター電気製造 Transtar-F レビュー

オーディオオカルトの中でも電源関係というのはわりと面白がられるものだ。

 

○○地方の電気は音が滑らかだとか、ピュアな電源を使った炊飯器で炊いた米はふっくらしているとか。

理屈が通っているものから、尾ひれか背びれがついて膨らんだ話まで。

それだけオーディオと電源というものが、密接に結びついているということでもあるだろう。

実際に「なにかをすればなにかが変わる」というオーディオの中でも、費用対効果が大きいのがこの電源周りについてだ。

だからこそオーディオマニアの入り口は電源であり、まずはここを固めてからルームアコースティックを詰めるというのが一つの道だろう。

そこからはいわゆる沼というやつで、コンセントを変え、電源ケーブルを変え、分電盤を変えと。

より大掛かりな工事が必要なものへと到達していく。

 

そんな需要を受けてか、電源を良くするためにオーディオグレード電柱を販売している業者もある。

もちろん、ここまでくるとやりすぎというレベルだ。

あまりののめり込みっぷりからニューヨークタイムズに取材されたりしている。

実はこの電柱を販売している業者さんのショールームであったり、施工したお部屋にお伺いしたことがある。

その経験からすれば、電柱の1本や2本なんて安いもんだなと感じてしまう説得力のある音がしていた。

それこそ、私の最も推しているアンプは同社の電源に関するノウハウを詰め込んだモデルだ。

ただしかし、1台100万円の機材をここでレビューするのも気が引ける。

そこで、今回はもっと身近なところで電源トランスのレビューをしてみたいと思う。

 

レビューするのはスター電気製造のTranstar-Fだ。

f:id:ryuseilml:20181106162944j:image
このTranstar-Fは平たく言えばコンセントの口数を増やせる電源タップだ。

しかし、この筐体の中にはトランス回路が積まれている。

トランスとは途中にコイルを挟むことで、電源のエネルギーのパターンを整えるための機材だ。

また、そのコイルを非接触にすることで電気は電磁誘導により通過させ、ノイズは通さないという絶縁トランスもある。

オーディオグレードのトランスというと絶縁トランスになるのだが、このトランスは単相のトランスになる。

ただ、対外のトランスであればノイズフィルター搭載のものが多いだろうか。購入するときはそういった部分もチェックしておきたいところだ。
電源を変えることで主に変化するのは低音域を含むそのさらに下の周波数帯になる。
低音域の存在感を知らしめたるその質量感というものが、より重くなるのを実感できるだろう。

 

電源関係でふと思い出したのが、海外の古い録音は電圧が安定していない場合がある。
だがそれが音楽的に味が出ているという話だ。
それこそアメリカのスタジオは電圧が高いだとか、あの音はあのスタジオでしか出せないという話もある。
以前はそういった話に対して、エンジニアのマジックだとかスタジオが変わってモチベーションが上がったのだろう程度に考えていた。
しかし、そのスタジオに引かれている電源環境というものはどこにも持ち出しができない。
全く同じ機材でも、そういったスタジオの特性が多く含まれる電源になにか関係があるのではないかと思うようになってきた。

 

それならばと、えいやとギターアンプをこのトランスに繋いで音を出してみた。

アンプはFenderのツインリバーブ

現行品で2年ほど前に購入したものだ。

実のところ購入はしたものの、あまり活躍の場が与えられていないアンプだ。

そもそも自分自身が大のマーシャル好きであったため、ツインリバーブのキャラクターに苦手意識を持っている。

高音域がバリンとしていて、低音域がボワンとしている。

それでもなんとかしようと、トレブルは2くらいでローが6という極端なセッティングで使っていた。

それでも高音域がまだ主張をして、ファンクだとかスカのようなバッキングにしか使えない音だと感じていた。

 

ところがトランス経由させてみると、このバリンとボワンとした音がどこかにいってしまった。

今まではライブでよく若いバンド特有の聴く耳に痛いギターの音だったが、トランスを繋ぐとどこかで聴いたことのあるアーティストの音になった。

全体にまとまり感が出たというのだろうか、アンプの鳴りというよりもギターの音をアンプが後押ししてくれているような音だ。

 

例えばUKのギタリストなどがツインリバーブを使い、音色豊かなアルペジオを弾いていることがあるが、今まではそれが信じられなかった。

なんであんなアンプでこんな音が出せるんだ!?と。

それがトランスに繋いでみると納得だ。

むしろ、これこそがツインリバーブの評価されるべき音なのだろうという貫禄もある。

 

低音域は引き締まっていて、高音域は密度が濃い。

それでいて各帯域のバランスが良く、クリーン~クランチならこのアンプを置いて他にないと感じるほどだ。

ファンキーなカッティングはもちろん、柔らかなアルペジオも問題ない。

ボーカルの邪魔をしないようなポップスのバッキングもこなせるだろう。

昨今のギター絶対主義のようなギターしか聴こえない音楽にはマッチしないだろうが、ギタリストならずっと弾いていたくなる音である。

それこそマーシャル大好き人間がドハマりした音なのだ.

どんなギタリストも欲しくなるサウンドだろう。

 

こういったことを体感すると、やはりスタジオごとのサウンドの違いには電源関係というのが密接に関わっていると感じた。

それこそギターアンプだけでなく、コンソールやマイクの電源など。

音楽には電気を必要となるものがたくさんある。

どれか一つだけ変わるのなら、まだしもそのトータルが変わったとしたらその楽曲のキャラクターは全く違うものに感じるだろう。

だが現実問題、レコーディングスタジオの機材リストなどに電源のことを謳うことはほとんどない。

それこそそういったことは気にしていない場合も多いのではないだろうか。

もし、スタジオに寄った際には「分電盤を見せてください」なんて声かけるのもいいかもしれない。

Chord Electronics Qutest レビュー

あなたの好きな国はどこですかと問われれば、日本が好きですと答えるだろうか。

ただそれは決して愛国心あふれるものではなく、諸外国について好き嫌い言えるほどに学がないための消去法的な返答になる。

例えばちょっとひねった質問で「あなたの好きな音のする国はどこですか?」と尋ねられたら迷うことなく「イギリス」と答えられる。

 

今回はそんなひねった質問がテーマの内容だ。

 

そしてレビューするのはCHORDがリリースしたコンパクトDACのQutest。

f:id:ryuseilml:20181011150717j:image

この機材を説明するにはまずはルックスからだ。

良い意味で「男子小学生が考えたオーディオ機器」のような雰囲気は思わず目を引いてしまうだろう。

同社のフラッグシップ機であるDAVEと同じくSF然としたコンセプトは崩さず、いいところでサイズダウンを計れている。

中央の大きな丸窓は内部基板を見るためとライティング用となっており、かなり意匠性の高いものだ。

ライティングの仕組みは、DACに通したソースのサンプリングレートによって赤黄青など様々な色に変わっていく。

実用性は特にないのだが、自分の持っている音源が様々なフォーマットだと目まぐるしく色が変わっていく。

その色を見て「そういえばこれはCDのリッピングだったな」なんて思いだしたりして、飽きが来ない演出になっている。

 

また小さな丸の方は操作用スイッチとなっており、この2つを上手く操作して設定を切り替えていく。

そしてこの設定の中には音質を調整するものもある。

高サンプリングレートの音源というのは、時にはその鮮明さからイヤに耳に付くときがある。

そういった時のために、Qutest側でフィルターをかけて馴染ませるためのものだ。

 

 

さて、DAC(ダック)とはDigital Analog Comberterという読んで字のごとく、デジタル信号をアナログ信号に変換するための機械だ。

ざっくりとDACの説明すると、四角いデジタルデータを丸いアナログデータに変換するものというところだろうか。

テレビやパソコンなどデジタルデータを再生する機器にももちろん搭載されている。

しかしそういった内臓DACなどは音楽再生には適していないものも多く、その役割を音楽特化とした外付けD/AコンバーターがこのQutestになる。

四角い波形を丸い波形に変換するにあたり、その角が取れて丸くなる。

その切れ端がオーディオ的にはノイズとして発生してしまうようだ

そのノイズを除去してかつ、その損失が極力少ないように設計されているのがオーディオ用のDACになる。

 

オーディオ用の部品と言われるとなんだかオカルトじみたものに感じるが、旭化成エレクトロニクスの提供するものがマニアたちに好評を博している面もある。

ただの半導体だとわかれば堅実な設計の元にある工業的部品であることがわかるだろう。

 

そしてこのQutestにはコンバートするにあたり、一般的なDACチップと違いFGPAチップでD/A処理するという特徴がある。

FGPAチップはDACのような半導体チップではなく、CPUのような演算処理をする回路となっている。

こういった演算処理をするものでいうと、EVE AudioのDSP回路もあるだろうか。

オーディオはある程度のコンデンサーなどを介し、ピュアに再生されるべきという考えが根強いかと思う。

そういった環境下においてもこういった新しい技術を送り出しているのだから、音質的にも自信があるという表れなのだろう。

 

 

さて、今回試聴するにあたり他にも2種類ほどのDACと比較視聴してみた。

とある国産のハイエンドDAC真空管DACそしてこのQutestだ。

音質の解像度、立ち上がりの丁寧さ、立体感などはどの機種も素晴らしく表現できている。

このあたりはどのDACにおいても甲乙つけがたく、さすがとうなるようなものだ。

 

その中でもQutestの音を聴いた瞬間に「あれ、なんか聴いたことある音がするな」と感じた。

 

中音域から高音域にかけての独特の粘り感とでも言おうか。

特にボーカルの肌の持つ弾力に少し奥行が感じられる。

ぐーっと指で押し込めるような程度の立体感とでも表現しようか。

かと言って、それがビロード状のフィルターのような遮蔽されたものではない。

あくまで人間的な立体感だ。

こういった質感で連想されるのがイギリス製の機材だ。

NEVEのコンソールであったり、HARBETHのスピーカーなどの印象に非常に近い。

試聴時にはすっかり忘れていたが、このCHORDもイギリスのブランドなのだ。

 

他の試聴機種ももちろん素晴らしい解像度なのだが、やや見えすぎてしまうと感じるところがある。

ボーカルのマイクやポップガードまで見える音源もあれば、コンソールのフェーダーまで見えてくるものまで。

中にはどんな広さのスタジオでどんなスピーカーでミキシングしたのかがわかる音源まであるほどだ。

そういった精緻な音源を求めるユーザーにとってはそれが至福になるだろう。

しかし、音楽は音楽として聴きたい私からすればそういった情報が過多だったりするとすぐに疲れてしまう。

たとえばその曲が自然豊かな田園風景をイメージして聴いてほしい作曲者の意図があったとして、スタジオの風景が見えてしまったら台無しだろう。

そういった音楽に寄り添うような音響設計がイギリスの機材にはよく見られる特徴だ。

悪く言えば少しボケた感じなのだが、その押出しすぎない程度が聴いている側に想像する余地として委ねてくれる。

その余裕のある感じがイギリス機材のイメージだ。

 

と、ここでふと自分はイギリス製の機材が好きなのだとはっきりと認識できた。

思い返してみれば、自室のモニタースピーカーはイギリスのTANNOYだしSOFTUBEのCONSOLE1もイギリス製だ。

自覚ないままでも好きなものを寄せ集めていったら、やはりイギリスで纏まったのだった。

 

以前にCHORDのフラッグシップ機であるDAVEも試聴をしたことがある。

こちらも似たような中高音域のイギリスらしさがあった。

それでいてDAVEのほうがいく段か解像度が高く、音の立体感がより鮮明に表れていた。

比較してみるとQutestは高音域の鮮明さであったり、低音域の力強さが不足している感じがある。

ただ、それがもの足りないと感じることはなかった。

むしろ、れらを上手く処理して「丁度いい」あたりに落とし込んでいるところがCHORDのセンスを感じる。

能力のある技術者であれば、もっと高音域の解像度を出す設計にできるだろう。

しかしそれをしてしまうと全体のバランスが崩れてしまい、その解像度の高い高音域にしか耳がいかなくなってしまう。

 

よく国産の精密精緻なものが賞賛されるが、それはその成功精緻なデザインについてである。

それによって導き出された結果に対しての評価ではない。

逆に少し作りが荒いものであっても、結果として本質に寄り添っているものであればしっかりと評価されるべきものだろう。

 
 

Softube Console1 レビュー 追記

さて、前回のレビューにてConsole1について触れてみたがいかがだっただろうか。

ryuseilml.hatenablog.com

 

このレビューブログにおいては購買促進であったり、個人的な収益を目的にしているわけではない。

ただ、製作現場の面白さであったり、または音楽そのものの楽しみ方を多角的に普及していけたらという考えで投稿している。

しかし、読み返してみるとあのレビューはそのどれにも当たらないような内容だったのではないかと感じてしまった。

そこで、その反省も含めレビューの追記を公開しようと思う。

 

 

そんなレビューの追記にあたって今回は画像が多めになっている。

というのもこういった波形を見ながら検証していくコンセプトとなっているからだ。

f:id:ryuseilml:20180801232834p:plain

これはStudio Oneの標準プラグインのTone GeneratorとSpectrum meterの画像だ。

右上のトーンジェネレーターで特定の周波数を再生させ、スペクトラムメーターでそれを視覚的に確認する。

トーンジェネレーターは安定した持続音のため、測定はピーク時のものと考えていいだろう。

 このスペクトラムメーターは縦軸が音圧で、横軸が周波数となっている。

 

 

今回は200Hzの純音(サイン派)をリファレンスの周波数として使用する。

f:id:ryuseilml:20180801232840p:plain

スペクトラムを見ると、横軸の200の部分が大きく立っているのがわかる。

サイン派をざっくりと説明するのであれば、プログラミング的に生成された純粋な音の波といったところだろうか。

病院の心電図のピーという音などに非常によく似た音だ。

倍音が含まれていないため、DAWの波形で見ても歪ない綺麗な波形で見ることができる。

リファレンスする音にすでに倍音が含まれてしまっていると、様々な処理をかけた際に比較がしづらくなってしまうためにこの音を選んだ。

 

 

まずはBritish ClassAのコンプをこんな感じで掛けてみる。

f:id:ryuseilml:20180801234300p:plain

特にサウンド的にどうという指標を持たずに、とりあえず派手めにかけてみる。

(実際はスペクトラムを確認しながら、わかりやすいように倍音が最も立つように調整していった結果だ。)

 

f:id:ryuseilml:20180801234258p:plain結果がこのスペクトラムとなった。

200Hzから2倍音、3倍音…と各倍音が立ったことがわかる。

そして、その倍音は2倍音目からなだらかな右肩下がりとなっている。

 

コンプについては「音を潰す」という表現が用いられているが、まだその出展元を確認できていない。

というのも、その「音を潰す」という表現について少し違和感があるためだ。

波形を見るとわかるが、コンプをかけると200Hzの音圧のピークは変わっておらず倍音が付帯するだけとなっている。

この変化について、ブラインドテストをしたところで「音が潰れたように聴こえる」と表現する人がいれば大分ユニークな感性をお持ちだと思われるだろう。

多くの場合は耳に馴染むようになったとか、刺さるような音がまろやかになったと表現するだろうか。

主に心地の良いという方向に意識が傾くことが多い。

蚊の羽音には良い思いをしないことに対して、鈴虫の羽音には癒されるなどはこの倍音成分の量感に違いがあるからだ。

それでは、コンプをかけたことにより「音が潰れる」というのは心地が良い音になるということなのだろうか。

よく雰囲気だけのグラフでコンプを説明するシーンに立ち会うが、それで納得できたことはあまりなかった。

長い間コンプについてはそういったことを教わりつつも、なんとなくの感覚だけで操作していたように思う。

聴く力は鍛えられたとは思うが、もっと早くにこういった視点を持てていたらなと思わなくもないが…。

(こういうことはあまり言ったところで変な目で見られるだけだろうか、この疑問を投げかけるだけで閑話休題しておく。)

 

 

次に比較用としてSL4000Eのコンプをかけてみる。

f:id:ryuseilml:20180801235610p:plain

セッティングは同じように派手めにかかるようにしてある。

 

f:id:ryuseilml:20180801235617p:plain

ここで大きく違うのは2倍音目(400Hz)、4倍音目(800Hz)の部分だ。

ここがClassAの波形と大きく音圧が違っている。

この第2倍音というのは音楽においては非常に重要視されている。

その楽器のキャラクタートーンを支配するのがこの2倍音目に関わってくるからだ。

ClassAにおいてはどの音に関してもカラーを与え、SL4000は音源そのものを表現するということだろうか。

 

もちろんセッティング如何な以上、これは一つの指標でしかないがこのコンセプトというのはそれぞれモデルのコンソールの掲げているものに非常に近い。

楽曲にカラーを与えるNEVEに対して、原音を目立たせるSSLというイメージはこのコンプによる影響が多いということもあるのだろう。

あながちこの考えも外れてはいないと感じた。

 

ちなみにこれと同じ検証をされている方がいらっしゃるので、まとめて参考にしていただければと思う。

(こちらもじっくりと検証されているので、とても参考になります。)

ameblo.jp

 

 

次にドライプの設定を見てみる。

f:id:ryuseilml:20180802001014p:plain

あまり設定を入れすぎてしまうと、単純に歪んでしまうためサチュレーターとして味が出る程度のところで止めている。

 

f:id:ryuseilml:20180802001017p:plain

このセッティングにおいても倍音が附加されている。

ドライブにおいては、2倍音目から横ばい気味に下降している。

 

 

そしてSL4000の波形と比較をしてみる。

f:id:ryuseilml:20180802001411p:plain

設定値としては同じにしている。

f:id:ryuseilml:20180802001419p:plain

こちらは右肩下がりに減衰している。

 

ClassAのドライブは色付けは少なく、SL4000の方がキャラクターの出る音になるというようなことが推察できる波形となった。

確かに、実際に楽曲で使ってみるとSL4000はドライブをかけるとグッと音が持ち上がってくる。

ClassAは自然な雰囲気が付加されるといった感じだろうか。

ほとんど差異はない程度といってしまえばそこまでだが、このあたりはツマミを少しいじるだけで変動する部分だ。

あまり気にしない場合が多いだろう。

 

 さて、いかがだったろうか。

このブログの本懐はレビューという点に尽きるため、こういったデータで検証というのはあまり乗り気ではなかった。

こういったことは仕事でしょっちゅうやっているということもあり、なんだか残業気分での執筆となった。

しかし、製作現場の面白さであったり、または音楽そのものの楽しみ方を多角的に普及していけたらと冒頭でも語っている。

このレビューがそこに繋がっていくのであれば、こういった提案の仕方も悪くはないのかもしれない。

 

 

 

ちょっと最後に、撮ったが評価が難しかったデータの画像を投稿しようと思う。

これはイコライザがどれくらい効くかという目的だったのだが、よくわからなかったため活用できる諸兄がいれば参考にしてほしい。

f:id:ryuseilml:20180802002158p:plain

f:id:ryuseilml:20180802002217p:plain

f:id:ryuseilml:20180802002231p:plain

f:id:ryuseilml:20180802002353p:plain

 

Softube Console1 レビュー

ミキシングコンソールというものをご存じだろうか。

知らない人にもわかりやすく説明すれば、レコーディングエンジニアの背景によく写っている巨大なマシンのことだ。

レコーディングエンジニアに限らず、アーティストのレコーディング風景などでも背景として切り取られることも多い。

撮影する側からすれば、雰囲気に格好がつく都合のいい背景なのかもしれない。

しかし、そのあまりの巨大さから自然とフレームインしてしまうというのもあるだろうか。

 

一般的な視点からすれば背景でしかないコンソールだが、ことレコーディングエンジニアからすれば最高の仕事のツールである。

 

あのマシンには音量調整するためのフェーダーをはじめ、イコライザやコンプなどレコーディングに必要なものが詰まっている。

スタジオのビジュアル面だけでなく、サウンド面においてもなくてはならない存在なのだ。

レコーディングエンジニアというネーミングも、このコンソールの基盤などを自らの手でカスタムし、理想のサウンドを試行錯誤作り出していた、まさにエンジニアだったことに由来する。

 

 

 

今回レビューするのが、この巨大だったコンソールをプラグイン再現したことにより超小型化を実現したSoftube Console1だ。

f:id:ryuseilml:20180731103450j:image

(コンソールのプラグイン化と言ってはみたが、実質はチャンネルストリップのプラグインといったところだろう。)

ビジュアル的なところでは巨大なコンソールには似ても似つかないが、このサイズに落とし込むにあたってこれ以上ない使い心地に昇華されている。

使っている感触としてはDJのミキサーに近いだろうか。

音に合わせてそれぞれのツマミをぐりぐりと回していくことになる

本物のコンソールにおいては体全体を使い、大きなアクションを伴うミキシングにならざるをえなかった。

しかしこのConsole1では手元で全てを完結させることができる、まさにホームユースなデザインとなっている。

 

 

このConsole1だが、現在はMk2ということでバージョンアップされたものが流通している。

しかし、私が所有しているものはこの初期モデル(いわゆるMk1)である。

いくつか初期モデルとMk2とで違いはあるのだが、もっとも大きな違いとしては生産工場の違いだろうか。

Mk2は中国にて組み上げられているが、初期モデルはイギリスでの生産となっている。

このConsole1に関して言えばプラグインのコントローラーでしかないのだから、基板がどんな風に組まれたかとはさしても影響がないと理屈は立つ。

しかし、こと何が音に関係してくるかわからないのがレコーディングの楽しさだ。

そういったところから購入した当時はすでにMk2も発売されていたが、あえてこの初期モデルを選んだ。

価格帯としてもイギリス産のほうがMk2に比べて幾分値が張るものだった。

(楽器店さんの好意でハコ潰れ特化でMk2とどっこいな価格で売っていただいたけど)

この音の違いというものを聴き比べられたわけではないので、評価できないのが残念だがプラシーボの面では大きく貢献してくれている。

 

 

さて、この音についてだが標準インストールプラグインコンソールとしてSSL4000のモデルが入っている。

…のだが、今回は別売りのBritsh ClassAのほうのレビューをしていきたい。

これはNEVEのコンソールをモデルとしたプラグインだ。

というのも私自身が生粋のNEVE好きであり、コンセントの電源ケーブルもNEVEっぽい音がするという理由からエコケーブルを好んで使ったりもしている。

このNEVEっぽいというところだが、中音域に粘りがでるというクセがある。

SSLのどんな環境でも安定した色付けができる特徴も捨てがたいのだが、やはり最終的には自分の好みの音に仕上げるのが大事だ。

となるとやはりNEVEで揃えてしまうのは仕方がないことだろう

 

まず気になるのはNEVEコンソールの再現度だ。

そもそも固体差であったり電源状況など、コンソールというものはスタジオによって音が違うものである。

しかしノイズゲートは2257、イコライザは1084、コンプレッサーは2254、そしてプリ/EQに1073ということのようだ。

それゆえこれが本物のNEVEの音だ!と言えないが、Console1のNEVEにおいては絶妙な再現度だ。

絶妙というのは、NEVEらしい中音域のクセはしっかりと見せつつも現代の音楽シーンに対応できるようなクリアさも兼ね備えている。

使う人間のことをよく考えられた使いやすいNEVEの音となっている。

 

さらにいえば、Console1のツマミの挙動もコンソール実機さながらの効き具合となっている。

手の動きとしてはグッと動かした感じになっていても、掛かり具合は小さい。

これは現在の優秀なプラグインを使いこなす人間からすると物足りないような気もするが、このわずかな掛かり具合で楽曲にグッと色味が出てくる。

周波数的な見え方ではなく、倍音のコントロールでミキシングするというスタンスになるだろう。

 

 

特にDriveというパラメーターがあるのだが、この使い方次第でミキシング後のキャラクターを大きく変えることができる。

いわゆるギターなどのDrive(歪み)とは違い、サチュレーションとしての倍音を盛っていくDriveだ。

掛ければ掛けるほど、倍音成分が増えていき音が太くなるという素晴らしい機能である。

安っぽい打ち込みのシンセもサチュっていけば、恰幅のいい黒人がマンハッタンのバーで弾いているような存在感のある音になる。

 

 

しばらく使っている中でConsole1の活用法が見えてきたが、これはマシンスペックがものをいうような代物なのだろうと感じた。

まずは全トラックにConsole1を挿して楽曲全体の質感を統一させて使うのがおススメだ。

そもそも仮想コンソールという以上、こういう使い方をしたいと考えて購入したというところもある。

使用PCはMacBook Pro 15インチ。

CPUはi7のクアッドとなっている。

このスペックで50トラック(オーディオ)すべてにConsole1を挿すと、CPU占有率が60%程度となる。

KONTAKTやBFDなどのインストトラックと同居させての使い方はあまりおススメできないように感じた。

つまりConsole1の活躍するシーンというのは、完全なるミックス特化ということだろう。

 

 

ちなみにメインのインターフェイスがUNIVERSAL AUDIOのARROWなのだが、これにはUADプラグインが入っている。

となるとオーディオトラックにおいてはUADでの掛け撮りしてからのConsole1での二度掛けになることになる。

この二度掛けが良いように働いてくれれば万歳なのだが、場合によってはイヤに目立ってしまうこともある。

そういうときはUADはドライソースでDAWに流し、Console1にUADプラグインを挿し撮り音を再現することができる。

これはConsole1がUADプラグイン対応になったことによる使い方だが、双方ともこの使い方を想定してのコラボだったように思えるほど理想的なセッティングだ。

 

 

 

こういったミキシング系の機材というのは聴感的に判断するよりも、感覚的に認識することが多い。

ギターエフェクターであれば歪んだり残響がついたり、わかりやすい変化が好まれている。

それに対してちょっと低域が持ち上がった程度の変化というと実に判断しづらい。

しかし、それでもあったほうがなんだか心地よい音がしたり、思わず心打たれる音になったりする。

音がこう変わったから良いというだけでなく、なんだか気持ちのいい音になったから良いというジャッジが求められる。

それがミキシングの妙なのだろう。

そういった細かい部分が気になる音道楽な人間に向けて、積み重なったものが今のレコーディングの現場にある。

昨今のリスニングシーンにおいてはやれ解像度だの、ロスレスだのと技術的な面での評価を下されるこのも少なくない。

ただ音楽を聴く際にはリズム、メロディ、グルーヴ、音質などだけでなく、自分の感情にも目を向けてみると新しい楽しみにつながるだろう。

 ------------------------------------------------------------------------------------

 追記しました。

ryuseilml.hatenablog.com

Blue Microphones Baby Bottle Made in Latviaレビュー

「あー、本日は晴天なり。本日は晴天なり。」

マイクチェックの代名詞とでもいえるだろうか、このワンフレーズ

実はマイクチェックの意義が期待できないということは、レコーディング業界ではわりと有名な話だ。

というのも、マイクチェックでは瞬間最大音圧やエフェクトのかかり具合などを確認するために、アタック音や幅広い周波数の音を入れるのが理想的だ。

だがこのセリフは抑揚が少なく、平たい口調になってしまう。

 

「It's a Sunny Day.」

意味は同じだがこちらは周波数の広さもイントネーションの豊富さもあり、マイクチェックにはうってつけだ。

意味は同じだが、翻訳されてしまったことにより意義が変わってしまったのだ。

これは妄想ではあるが、戦時中に英語が禁止される際にマイクチェックをどうするかとなったときに日本語訳をしたのがはじまりなのではないだろうか。

いずれにしても手段と目的がごっちゃになってしまい、手段が目立ってしまった悪い例とも言えるだろう。

 

ある側面から見れば同じだが、本質的には全く違うものになるというのはよくある話だ。

例えばマイクの外見は一緒だったとしても、パーツをはじめ製造工場も違っていたとしたら、それは同じマイクなのだろうか…。

 

 

さて、今回はBlue Microphones Baby Bottleのレビューだ。

Blueのマイクといえばドラえもんのひみつどうぐのような独特のルックスと、わりと手ごろな価格帯でのセールスもあるブランドだ。

音楽をはじめたころからこのマイクのデザインにはたびたび目を奪われ、いつか買いたいなと考えていた一本でもある。

f:id:ryuseilml:20180513212101j:plain

 

そんな中、日課のデジマート巡りをしている中で中古でこのマイクが出されているのを発見した。

中古のコンデンサーマイクというと、コンディションの良し悪しが大きいために購入の判断が難しいところだ。

しかし、このマイクについているラベルが僕の興味をかきたてた。

なんと「Made in Latvia」とあるのだ。

f:id:ryuseilml:20180513212145j:plain

 

MADE IN USAというイメージの強いブランドではあるが、開発者の出身はラトビアということだ。

そもそもBlueという名前は「Baltic Latvian Universal Electronics」の頭文字であり、ラトビアからはじまっているブランドなのだ。

元はラトビアでマイク修理の仕事をしていた中で、オリジナルのデザインを造っていったという。

ドイツとも縁のある地域出身ということで、NEUMANNのCMV3のビジュアルが受け継がれているというのもうなずける。

(このあたりはぜひCMV3とヒトラーで調べてみてほしい。)

 

現在はBaby Bottleなど一部のモデルが中国にて製造されているが、初期のものに関してはラトビアで製造されていた。

この国はドイツとロシアという音響的に重要な国に大きく影響されているということもあってか、そういったノウハウもあったのだろう。

ステレオタイプなラトビア人のイメージとしては、真面目で堅実というところだろうか。

日本人にも似た職人向きな部分もあり、細かな作業の多いマイクメーカーとしては優れた面を多く持つようにも思える。

 

そして今回手に入れたのは、このラトビア製の初期型Baby Bottleだ。

 

購入に先立ち、この初期型とはどんなものなのかと調べてみたが、どうやら現行品とはパーツもいろいろ違っているようだ。

(そこは電気系にめっぽう弱く、まったくわからないため詳しい人がいたら教えてほしい。)

そもそもパッケージであったり、おなじみの木箱のデザインも現行品と異なる点が多い。

f:id:ryuseilml:20180513212331j:plain

 

となってくると、気になるのは音質だ。

それでも同じルックスとモデル名で売り出している以上、そこまで音質に違いはないだろうと思っていた。

 

Blueといえば伸びのあるハイと、明るくいてそれでもうるさくなりすぎないキャラクターというのが僕の持つイメージだ。

音の太さが出るというレビューもそれなりみ見かけるが、それはこの価格帯のコンデンサーマイクならどれもそういった魅力はあるかと思う。

以前に女性ボーカルで使ったことがあるのだが、適度なノリとボーカルの口元が見えるような軽快なサウンドが印象的だった。

 

さて、このラトビア製のBaby Bottleはというと、一言マイクに音を入れた瞬間からその音質の違いがハッキリと出てきた。

 

ものすごく音が太い。

それでも曇った感じはなく、そのBlueらしい明るさは残りつつも自分の声が一回りも二回りも力強くなったように聴こえた。

薄くなりがちなミックスボイスの境目であったりも、朗々と余裕で歌っているように感じるほどに演出されている。

低音域に関してもヌケの悪い部分が見えることもなく、美味しい部分はしっかりと抜き出してくれる。

この音が太いと感じているのは、音楽的な低音域よりもさらに下のスーパーローあたりの充実によるものなのだろう。

一般的にBlueというと女性ボーカル向けと評価されるのをよく見かけるが、このマイクであれば男性ボーカルでも過不足なく力を発揮してくれるだろう。

 

これはどちらかと言えば、NEUMANNのマイクらしい感じがすると言っていいだろうか。

価格帯的にも近い、TLM103のような音楽的な音の入り方がする。

この撮りは一発で決めてやるという、気持ちの乗る音が返ってくる

まさにボーカリストに自信を与えてくれる音だ。

 

「Mics do color the sound 」

「マイクは音の演出家たるべき」とは誰かの意訳ではあるが、このコピーこそがBlue Microphonesの哲学だ。

音という空気振動がマイクを介して電気信号に変換される以上、完璧にフラットでピュアな音になることはない。

それならマイクにキャラクターを持たせて楽しんだほうがいいじゃないかとBlueの開発者は言っている。

このマイクからはその意図がありありとわかるようだった。

f:id:ryuseilml:20180513212412j:plain

 

もし外見は一緒でも、中身が別物であったらそれは同じものなのか

これはネガティブな方で捉えるだけではない。

 

同じモデル名のマイクではあるが、中身はより開発当時の哲学を色濃く受け継いでいる。

新しい設計であれば、より良いものをと改良が加わる。

中国の製造工場であっても、今の時代信頼して製造してもらえるクオリティだろう。

しかしパーツのグレードであったり、製造工場の質などはさしても大きな問題ではないのだ。

音楽において大切なことは、いかにして良い音が出せるかである。

手段と目的を履き違えることがないということは、それだけで強い魅力なのだろう。

ACOUSTIC REVIVE GB-TripleC-FM ギターシールド 先行レビュー

ギターシールドというと、わりと手軽に交換できて、わりと音質に影響のある、わりと気になるアイテムだったりする。

しかし、それは結局のところ「わりと使える」程度のもので納得してしまうのが現状ではないだろうか。

断線する可能性を考えれば、そこまで高価なものを揃えるのは少し気が引ける。

さらにいえば、ギターからエフェクターエフェクターからアンプというペア買いをしなくてはいけない。

自分自身もそうしたトータル面で考え、結局はいくつかランクを下げたシールドを買ったという経験もある。

 

しかし、それでも良いギターであったり良いエフェクター、アンプがあれば良い音が出せてしまうのだから、シールドについてじっくり考えるのはだいぶ後でのことになってしまう。

その結果「わりと…」というランクのもので十分と考えてしまうのだ。

 

 

そして今回のレビューは「わりと使えるギターシールドを見つけた」という内容にしようと思っていたのだが…。

実際にそのものを使ってみて感じた感想は「迷ったのならこれを買え!」という少しメーカーに媚びを売るような結論になってしまった。

 

 

 

さて本題だが、アコースティックリバイブのギターシールド(試作)を縁あって、先行してお預かりできたのでそのレビューだ。

f:id:ryuseilml:20180319101151j:image

 

まず、そもそもアコリバからギターシールドは販売されている。

販売されてはいるが、僕のような一般人からすれば「いったいどんな人がこれを買うのだろう…」という価格帯でのものになっている

https://www.acoustic-revive.com/japanese/singlecore/GS-10TripleC-FM.html

 

正直な感想を述べれば、この値段であればアンプやエフェクターサウンドの核となるアイテムを買ったほうがいいんじゃないかなんて思ってしまう。

それは購買ターゲットが自分に向いていないだけだというのはわかってはいるが、この値段で買い渋ってしまうというのは一般的な価値観なのではないだろうか。

 

 

そして今回お預かりしたのは、このべらぼうに高いシールドではなく研究開発中のシールドだ。

今までのものは音質重視の太い単線を使っており、シールドの取り回しに苦労するものだった。

そこで、ギタープレイというある程度シールドの引き回しが必要な環境においても実用性の高い、比較的柔らかいケーブルの開発に着手したということだ。

f:id:ryuseilml:20180319101203j:image

 

この新しいシールドは実際に持ってみたところ、確かに一般的なシールドに比べれば太めな部類に入るだろうか。

しかし、それがなにか問題になるかというほどではない。

むしろ他社の1万円/mクラスのシールドのほうが太いくらいだ。

そして、お値段もお手頃に…と聞いている。

(アコリバさんの言うお手頃がどのくらいかは想像が難しいところではあるが…。)

 

この時はプラグなどがついていない線材のみでお借りしていた。

なので、適当なプラグを取り付けてシールドとして完成させている。

 

 

今回のレビューにあたり他社シールドを数種類用意しており、比較視聴をしてみてどれがどんなキャラクターなのか検証しようとしていた。

…のだが、アコリバのギターシールドが圧倒的に独り勝ちしてしまうという結果になった。

それこそ音の好みいう枠を超えて、迷ったならこれを買っとけと自信をもって送り出せるクオリティなのだ。

まずノイズレスであり、各帯域も均一に出力され、音の粒立ちも明瞭で、音の残り方もごく自然だ。

安い売り文句のような言葉が並んでしまったが、一般的な評価項目があるとしたらそれらすべてを満点付けられるようなものだった。

 

音の粒立ちを良くしようと、無理にアタックを上げてコンプレッション感を得ようとするシールドがあるが、それとは違う触感なのが驚いた。

音の粒立ちは明瞭なのだが、それは弦楽器特有の弦振動のはじける感覚のみに追従している。

それはサスティンにも言えることで、自然に弦が揺れ終わるのを待ってくれている余裕がある。

低音域から高音域にまで特に不足なく出力されており、ローのふくらみや無理に目立たせる感じもない。

この時はエレキギターでの試奏だったのだが、これはアコースティック楽器のピエゾに対しても効果的なようにも感じた。

 

 

ところで、もっとも気になったのが音圧だ。

ケーブルを変えただけでツマミを2つくらい上げたように音圧が上がった。

これはギターの信号をロスなく伝えた結果、上がったということなのだろうか。

もちろんケーブル単体での試奏なわけで、そこにバッファーなどはかませていない。

つまりはギターの元々の音というのはこんなにもエネルギーがあったのかという驚きなのだ。

ケーブルでギターの音がかなり痩せてしまっているのが実感できた

 

 

他にもギターを変えて試してみた。

リファレンスギターとしてPRSの513モデルで弾いていたのだが、他にも335モデルのセミアコスクワイヤーのストラトなど様々なキャラクターのギターで試してみた。

 

ここで安ギターファンの方々には残念(?)なお知らせだが、スクワイヤーのストラトではかなりチープな音が出た。

最低限のギターのシステムをクリアした程度の音というと、貶しすぎているようだが…。

それなりのギターではそれなりの音が出るということなのだろう。

 

335モデルのセミアコでは、生鳴りの音が直接増幅されてアンプから聴こえてきた。

それこそ、アンプのボリュームをいつ絞ったかどうかすらわからないほどに生鳴り=出音という不思議な体験だった。

もちろんアンプのキャラクター自体は確かにあるのだが、音の芯自体はギターから聴こえてくる音そのものだった。

 

 

これは「なにも足さない、何も引かない。」というアコースティックリバイブの精神を如実に表しているように感じた。

つまり、このシールドは本当にクオリティの高い良いものをそのまま表現したいプレイヤー向けなのだ。

素晴らしいギターであったり、精密なエフェクター、愛用のアンプなど。

自慢の逸品を過不足なく、すべてを表現したい超マニアックなプレイヤー向けのケーブルだ。

 

「迷ったのならこれを買え!」とは前述の言葉だが、シールドを迷うほどのギターマニアなのであれば自分のギターの音をしっかりと認識できるのは嬉しいことだろう。

そして、これがきっかけで自分のギターにさらに愛着がわくことだろう。

逆に、自分のギターに満足がいかなくなり改造に走る恐れもあるだろうか。

 

 

まずはこのシールドの発売を待つのみではあるが、もし見かけたのなら一度は試してみてほしい。

次には「これを買うかどうか」ということで迷ってみてほしい。

あとはお財布と相談ということになりそうだ。

 

 

※ちなみに、今回はギターでのみのレビューだったがアコリバさんからは「ベースも相当イイ感じになるハズ」とおすすめされている。

むしろ、ベースのほうが恩恵はあるんじゃないかなぁなんて自分自身も感じた。

なので一応、ベーシストにもおすすめしておく。

 

 

ACOUSTIC REVIVE モニタースピーカー用ラインケーブル レビュー

「○○を変えると音がよくなる!」

この一言をオーディオ誌で見ない日はあるだろうか。

そのくらいに各ブランドが、口を揃えてこの売り文句を使っている

 

何かを変えれば、そこが起因としてオーディオの音が変化する。

これは機材やセッティングは元より、配線や電源なども重要というのは言わずもがな。

そしてその変化を対して責任と自信をもって、「これを使えば音がよくなる」と悩めるオーディオファンの背中を押すのがプロのオーディオメーカーだろう。

 

 

そして、その変化に対して責任と自信をもって「何も加えない。何も引かない」という非変化のスタンスをとったのがアコースティックリバイブだ。

 

 

この考えは他社オーディオメーカーからすれば恐ろしいことこの上ないだろう。

これはアンプやスピーカーの性能でしか判断されない状況を作り出してしまうこと他ならないのではないだろうか。

「少し良いケーブルを使ってもらえれば…」とか、「電源にこだわってみてください…」などのオーディオメーカーのいじらしい言い訳無用のアクセサリーである。

 

以前、会社の関係でアコリバ製品をフルに活かして試聴したことがある。

電源ケーブルからLANケーブルにいたるまで配線は全てアコリバに交換し、インシュレーターやデガウスプロセッサーまで使わせていただいた。

結論としては、大きな音質の変化が見られた。

非変化という表現を前述しておきながら、変化したというのもおかしな話だとは思うが、ピザがケーキになったようなような話ではない。

1ピースのケーキがホールケーキになったような感じだ。

むしろ、今までは一切れ分のケーキしか味わえていなかったのかという驚きを感じた。

そしてこの変化に関して言えば、好みの問題で良し悪しが分かれるようなものではなく、誰が聴いても「良い」と判断できるようなものだった。

既存の機器の本来持っているキャラクターをのびのびと表現させてくれる、優秀なサポーターのような印象を受けた。

 

会社での試聴はスピーカーがB&W 802 D3であったり、アンプがバイアンプ駆動であったり、グレードの高い環境でのものだった。

いい環境で聴ければ、ある程度は良いように体感できるのは当たり前ではないだろうか。

それならばそこまでこだわっていない環境ではどうなのだろうかと、ずっと気になっていた部分である。

 

 

長々と前置きを据えてみたが、今回アコースティックリバイブのLINEケーブルを自宅の環境で使う機会を得た。
このTSR→XLRMケーブルのレビューだ。

オーディオインターフェイスApollo Twinのモニターアウトからアコリバのケーブルを繋ぎ、前回レビューしたTANNOY REVEAL402へと出力した。

一般的なDAWユーザーの環境であもあるだろう。

 

 f:id:ryuseilml:20180217081339j:imagef:id:ryuseilml:20180217081353j:imagef:id:ryuseilml:20180217081402j:image

 

まず音源として、Apollo TwinのUADプロセッシングを使いギターを演奏。

アンプシミュとしてマーシャルのプレキシモデルを使い、76のコンプといくつかの空間系をかませ、実際のレコーディングを想定する音作りになっている。

(というよりも、すでにお気に入りのプリセットとして登録していたサウンドを引っ張り出して鳴らしただけだ。)

とりあえず1フレーズ弾きだしてみると、かなりピーキーに感じるサウンドが出てきた。

もしかしてこれは失敗したかもしれないなぁ…なんて思いながらも、しばらく演奏していくが……やはり納得がいかない。

一応は真空管アンプのシミュレーターなのだが、少しトランジスタアンプのような雰囲気さえ出てしまった。

ピッキングダイナミクスもあまり感じられなくなってしまい、演奏が平べったく思えてしまう。

 

とりあえず、いったん元のケーブルに差し戻してみたら聴きなれた音になった。

しかし、こう比較して聴いてみると元のケーブルの音というのがどうもフィルターがかかったような曇った音に感じる。

ローがふわっとしていて、ハイもモコモコしているような。

つまり、今まではフィルター越しで音作りをしていたために、クリアなケーブルを使った場合はその分が前に押し出されてしまっていただのではないだろうか。

 

すぐにまた、ケーブルをアコリバのものに戻し、今度はゼロスタートで音作りをしてみた。

すると、今まではわからなかったアンプシミュのマーシャルらしさというのがありありと感じられる。

真空管アンプらしいコンプレッション感であったり、EL管らしい少し"いなたい"ピッキングレスポンスの再現率が素晴らしい。

実のところ、このマーシャルシミュについてあまり良い評価を下していなかったのだ。

まぁ、シミュレーターだしこんな感じだよねー程度だったのだが、ケーブルを変えたら「これだよ、これ!」という感じだ。

平べったく感じたピッキングダイナミクスも、改めて音作りしてみると以前はハイを持ち上げ、ダイナミクスレンジを無理に上げていたのがわかった。

そして音が綺麗に出ている分、ピッキングに対する意識がシビアになる。

それこそ、ギター講師が口を揃えて言う「アンプを使って練習をするべき」という部分もしっかり再現できている。

最終的にセッティングした音は、「エレキギターの音」というよりも「ギターを演奏している音」という臨場感まで感じられるような音ができた。

 

ケーブルをほめているのか、アンプシミュをほめているのかわからないようなまとめ方になってしまったが、ケーブルを変えるだけでここまで差がでるのかという驚きはわかってもらえたのではないだろうか。

 

そして再び元のケーブルに戻してみる。

すると、こだわった細かなニュアンスの再現であったり、マーシャルらしさはしっかりと再生された。

やはりフィルターがかった感じはあるのだが、圧倒的に元のケーブルで作った音よりも質が上がっている。

音作りの段階でしっかりとチェックができていれば、別の環境で確認したとしてもキモの部分は残すことができるということに他ならないだろう。

 

 

次にDAWを立ち上げ、楽曲データを再生した。

自作の楽曲をソースに流してみたが、やはり高音域の伸びが特に変化を感じられる。

自作曲だったため、アコリバのケーブルでモニターしつつ再度ミックスしなおすことができた。

結果、EQのかかりをかなり薄くしても問題ない程度の編集になった。

それ以外にもコンプの質感が明瞭になり、どんな風に音が変化していっているかというのが直感的にわかるようになった。

これはミキシングの必要がなくなったというわけではなく、元々の撮り音の良さがよくわかるようになったという判断が正しいだろう

一流のエンジニアの言う「コンプやEQはあまりかけてないんですよ」というのは、こういうことなのかもしれないと感じた。

その分、撮り音をしっかり収録するという意識も持つことができる

 

ミックスを一通り終え、再度ケーブルを戻し比較視聴。

やはりこだわった部分はしっかりと感じ撮ることができる。

高音域の伸び方が少し不足しているために、ホールの響き方などが少し変わってしまっているが自然な音の残り方だ。

不要な処理をしなかったために、音と音の隙間が広く取られ楽器ごと自然な響きも得られたように感じる。

 

ここからは私論なのだが、再生環境を想定しそれに合わせて編集するという考え方は少し歪(イビツ)なように思う。

自分の環境で最適なものを提案していけば、どんな環境においても優秀な音が出せるということだ。

そのためには自分の環境を良いものに変えていく必要はあるが、常にベストを求める姿勢というものが根幹にあれば難しい話ではない

こういった機材はその意志をサポートしてくれるだけのものだ。

そしてそのサポートが自分に合っていれば、素晴らしいパフォーマンスを得られる。

 

たしかに個人で購入するには少し躊躇してしまう価格帯のケーブルではある。

それこそ「なくてもいい」なんて言われてしまうのはわかっている

ただ、それでもイマイチな自分の再生環境を理解できている人には確実に刺さってくるだろう。